多様性・公平さ・インクルージョンへの取り組み
D.E.I を実践するためにリーダーは何を伝え、何を変えなくてはならないのでしょうか?
RIが提唱する「D.E.I.」。クラブにこのミッションを取り入れ、メンバーの帰属意識や居心地の良さをさらに充実させ、クラブの活性化に繋げることはもとより、クラブメンバーが多様性を理解することで、女性や若い人たちの参加を一層促すことが目的です。クラブのサスティナビリティ(持続性)にも重要なミッションです。
まずは、D.E.Iを理解し、他クラブの事例にも学び、自クラブへの浸透を試みましょう。
ロータリーにおけるD.E.I.の意味とクラブにおける会員への理解促進について
国際ロータリーは、これからのロータリークラブのあり方の指針として、D.E.I.の理解と実践をかかげています。まず地区やクラブのリーダーがD.E.I.について理解し、クラブのあり方やメンバーの心構えをクラブ内で検討し、未来のクラブのあり方への意識変革を促して下さい。
■DIVERSITY(ダイバーシティ)=多様性
ロータリーは、あらゆる背景をもつ人や幅広い文化、経験、アイデンティティの人を歓迎します。
■EQUITY(イクイティ)=公平さ
ロータリーは、クラブ会員の公平な扱いと機会の均等を保つよう努めています。
■INCLUSION(インクルージョン)=包摂
ロータリーは、あらゆる人が歓迎されていると感じ、尊重され、会員として大切にされるクラブの
環境づくりに力を注いでいます。
【クラブの行動指針】
1.年度内にD.E.I.について学ぶ例会や取り組み行事を最低1回は設けましょう。
2.その上で、クラブの将来ビジョンについて検討する委員会など(戦略計画委員会等)でD.E.I.の思想を含んだクラブの将来像を検討し、クラブメンバーで共有しましょう。
3.D.E.I.についてのクラブの取り組み事例を報告してください。
D.E.I. の行動規範
他者を尊重する言葉を使う
(初対面の人には自己紹介をし、希望する人称代名詞(he/him/his, she/her/hers, they/them/theirs)な ど、自分を指す際にどのような言葉が使われることを望むかを説明する。)
人の呼び方は、言いや すいニックネームではなく、本人が希望する名前で呼ぶ。 大勢のグループの前で話す際には、ジェンダーの前提を避けるために、中性的な言葉を使う。
相手への理解を深めるために、アクティブリスニング(積極的傾聴)を実践する。
言葉の使い方を意識し、地域にあわせて順応させる。ある言葉遣いが、文化によって容認される 場合もあれば、容認されない場合もある。
文化によって翻訳不可能な俗語・隠語や慣用句の使用を避けたり、その意味を丁寧に説明したり することで、ロータリーの多様な文化と言語を共有する わかりやすく話し、すべての人が理解できない可能性のある略語や専門用語は避ける。
相手の文化的背景、信仰、性的指向、ジェンダー、その他の特性に関心がある場合には、こうし た情報を共有することに抵抗がないかどうかを尋ねる。そのトピックが会話の内容と関連がない 場合、尋ねるのを控える。
世代間の対話を促す雰囲気を醸成する。また人を年齢で言い表すのを避ける。
サポートを示す
他者の味方・擁護者となり、必要だと思われる場合には介入する心構えをもつ。 不適切な行為を見たり聞いたりした場合、その影響を受けた人をサポートする形でその行為に対 処す る。
ロータリー会員としてこの行動規範を守り、これに沿った文化をクラブで築き、問題が起きた場 合はこれに対処する。
温かく迎えるインクルーシブな環境を助長する
バリアフリー対策ができている会場、同時通訳、字幕、および/または筆記、そのほかのリソー スを必要に応じて提供することによって、直接対面式またはオンラインで実施するいかなる会合 、行事、活動にも、すべての会員と参加者が全面的に参加できるようにする。
クラブまたはプログラムの慣習を見直し、特定のグループに対して侮辱的または排他的な活動は 中止または変更する。 温かく迎える環境をつくり、対話、プロジェクト、行事にすべての人を含める。 可能な限り、アイコンタクト、表情、口調、個人空間、ジェスチャー、(体の)姿勢といった非 言語的なコミュニケーションに注意を払い、それがいかに人と接する能力や共感する能力に影響 するかを意識する。
さまざまな宗教における重要な日を認識し、それらの慣習に従っている人びとが参加できるよう に配慮した形で行事や活動の予定を組む。 人の食事制限や健康上の制限について知っておく クラブと地区でリーダー的役割を担う機会をすべての人に開く。
または、地域社会のパートナー 団体と関わりあう。
多様性を重んじる
・障害者に対するクラブでの認識、理解、受容を高める。 一つの文化や宗教と関連する奉仕プロジェクトや行事ばかりを実施するのではなく、多様な文化 や宗教の行事を祝う。 多様性と関連する重要な日を認識し、尊重する。
特定の人びとを固定概念にあてはめたり、からかったりすることを避ける。 異なるジェンダーを認識し、尊重する。
第2660地区
23-24ガバナー
延原健二
大阪大淀RC
精神科医から見た「DEIの行動規範」について
私は、医学部を卒業して直ぐに母校の大学病院の精神科に勤務し、以降20数年間にわたり精神科医として数多くの患者さんの治療にあたってきました。40歳代半ばで大学病院を辞め、その後2年間はある企業で主にメンタルヘルスの産業医として勤務しました。現在は、継いだ家業経営の傍らで、細々とではありますが嘱託産業医を続けております。
このような経歴を持つ私にとりまして、23‐24年度ゴードンR.マッキナリ―RI会長が、強調事項の一つとして、「メンタルヘルスへの取り組み」を発表されたことは非常に大きな驚きでした。精神疾患や心の健康に関する問題は、世間ではタブー視しがちですが、すべての人を歓迎し公平でインクルーシブな環境を目指す国際ロータリーにとっては避けて通れないテーマです。しかし、問題は具体的な取り組み方法です。
精神科の治療では、患者と治療者との対人関係に基づき、患者の精神面に働きかけて精神的・心理的な問題解決を図る精神療法という治療法がしばしば用いられます。しかし、治療は専門家に限られた話であり、専門外の人が心を病んでいる人の心の内面に容易に立ち入ることは許されません。
では、専門外のロータリアン、ローターアクターに何が出来るのでしょうか?
ヒントは、多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の行動規範にあります。行動規範では、「アクティブリスニング(積極的傾聴)の実践」を勧めています。積極的傾聴は重要な心理相談技法の一つで、人を一人の人間として尊重し、その人の悩みや苦しみを共感しながら理解することを目的としています。積極的傾聴によって、相手の気持ちは落ち着き、穏やかになり、相互理解が深まり、信頼関係の形成が進みます。
他にも行動規範では、「他者の味方・擁護者となり、必要だと思われる場合には介入する心構えをもつ」「アイコンタクト、表情、口調、個人空間、ジェスチャー(体の)姿勢といった非言語的なコミュニケーションに注意を払う」ことなども勧めています。これらは、精神療法を行う上での基本的かつ重要なポイントでもあります。これらのポイントに注意を払うことにより、相手に自分自身の問題について考えるゆとりが生まれ、困っていることや悩んでいることを相談しやすい暖かい雰囲気が作り出されます。
DEIの行動規範は、他者のメンタルヘルスを向上させ、健全で温かいインクルーシブな環境を育成します。積極的、継続的な行動規範の実践を心掛けてください。
クラブDEI チェックシート(ラーニングセンターより抜粋)
多様性、公平さ、開放性への取り組みをどのようにサポートできるか
以下の各見出しについて、多様性、公平さ、開放性をクラブや地区でどう実践できるかをご覧ください。
これらのアイデアを活動にどのように取り入れられるかを考えてみましょう。
既に取り組んでいるクラブや地区は、その体験談や成功例をほかのクラブにも紹介しましょう。
クラブの行事で
例会や行事は、誰でも参加しやすいかどうか、改善の余地があるかどうかを検討する
行事の会場を選ぶ際に、体の不自由な人も利用できるかどうかを検討する
行事の参加費用を抑える
地域社会全体にイベントを告知する
クラブの奉仕活動に地元市民も参加できるようにする
クラブと地区のリーダー職で
役員を選ぶ際に地域社会やクラブ会員の構成を反映させる
比較的新しい会員がリーダー職に就くことを阻む規定や慣習をなくす
会員数の少ない属性グループの会員がリーダー職に就くことを奨励する、またそのような会員がリーダー職に就いた場合にサポートする
リーダー職の選考委員会に多様なメンバーを含める
多様な経歴や考え方をもつ会員を地区委員会やクラブ委員会に含める
新会員の勧誘時に
クラブに反映されていない属性グループを特定する
入会候補者にとって意義あるクラブ体験を提供することに努める
若いリーダーのためのプログラムで
若い世代のリーダーを行事に招く
若い世代のリーダーと同等に接し、役割を割り当てることで貢献のチャンスを与える
若い世代のリーダーが活躍できる機会を積極的に設け、エンパワメントを通じて成長と目標達成を後押しする
クラブ運営の柔軟性で
ロータリークラブ運営において柔軟性を取り入れ、幅広い会員が参加しやすいクラブにする
会員の声に耳を傾け、全員が参加できるよう例会スケジュールや会費を調整する
現会員、新会員、入会候補者のニーズに応えるために、さまざまな会員種類を設ける
このページのURLをご自分のパソコンや関係者に送信する場合は下記をタップして下さい。(それぞれアプリが立ち上がります)